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第37回 学生・若手医療者のための家庭医療学夏期セミナーに参加して【学会参加助成制度を利用】
  • 2025/09/02
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第37回 学生・若手医療者のための家庭医療学夏期セミナーに参加して【学会参加助成制度を利用】

(広島大学医学部医学科5年 村山)

二日間の各セッションや企画において、同年代の医療者と学び合い、そして意見を積極的に交わすことで、とても刺激を受けることができたと強く感じる。
以下、特に印象に残ったセッションを一つ取り上げる。

セッション3 において、“医療現場で共感力”について学んだ。私は患者さんに寄り添い、信頼関係を構築するには共感力が求められると以前から考えている。だが医療現場では共感にはリスクもある。そのバランスの取り方について実習の際に悩むことがあったため、このセッションを選択した。序盤に共感の方法やそのメリットについて学んだ。改めてこれらを言語化して理解することができたため、これまでなんとなくやっていたものそれぞれに意味を見出しながら共感できるようになった。後半では共感のリスクに触れ、自分を客観視し、自己と他者の感情を区別して適切にコントロールすることで自分を守ることが大切だと学んだ。最後のケースワークでは情動的に激しく揺さぶられる難しい症例を扱った。特にこのような場合の共感のバランスについて以前から考えることが多かったため、非常に学びの深いテーマであった。このようなとき私が医師の立場であったら、患者さんから話をしっかり聞いて理解した上で共感し、その後に、患者さんは医療者に何を求めているのか?を考えると思う。だが、末期がんで余命が短くできることがかなり限られている状況でどのような声掛けをすべきなのか正直わからず、結果的に話を聞くだけで、何も声掛けできないと思う。ではこのようなとき、どう対応するのがよいのだろうか?ずっとこれまで自分の中で最適解が見つからなかったことであるが、この講義と講師の先生との会話を経てじっくり考えるに、一案であるが、患者さんにそのまま直接して欲しいことなどを聞くのが良いのではないかと思う。医療者と患者という立場はあるものの、それ以前にお互いに人間であるから、そういった関係性にとらわれずに正直に聞いてみる。自分がどうすれば良いのかわからず困っていることも伝えることで、患者さんの気持ちの理解を示すことができ、信頼関係は多少なりとも築くことはできるはずだ。たとえそのとき患者さんが医療者に求めることがなかったとしても、これからできることを一緒に見つけてあげれば良いと思う。
これから現場に出て経験を積むことで、考えも変わってくるだろうが、いずれにおいても患者さんに寄り添うには、適切な距離感を保ちながら親身に共感することを大切にしていこうと思う。改めて医療者が共感することの大切さやその方法についてじっくり考える非常に良い機会となった。
これまでの私は答えを求めることに執着していたが、この夏セミを通して、答えのない問題に対してモヤモヤしながらじっくり考えることの必要性と大切さを、身をもって学んだ。
自分の考え方を大きく一変させる貴重な機会をいただき、心から感謝申し上げる。

 

 

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